鶴見臨港鐵道株式会社

◆社長邸招待會

 昭和4年3月20日、弊社が主催して埋立地進出企業の工場長の皆様を芝區田町の浅野社長邸(紫雲閣)にお招きし、晩餐招待會が催されております。
 下の文面がそのご案内文書です。その中に記載ありますが、「弊社開業以来満三年と相成其間事業漸次発達仕り営業の基礎漸く確立致候は偏ヘに貴社御高庇の賜と只管感銘在罷候御承知の如く弊社は単に営利のみを目的とするものには御座なく埋立地内各工場の運輸の便を計り海陸連絡の大眼目を全うせんとするものに有・・・」とあります。弊社の経営方針の大本が明示されているところです。またここからは推測ですが、当時浅野總一郎齢81歳ということで人生を掛けた大事業に賛同して頂いた各社に感謝を伝えるとともに、課題となっていた旅客運輸実現の為「旅客運輸開始懇請書(日時未記載/20社代表者捺印)」が残されておりますのでこれに記名捺印を依頼したか、あるいはその年9月6日付重役会では海岸電気軌道鰍フ合併の議案に関する臨時株主総会開催の議案が可決されており、この方針を報告し了解を得たかと推察されます。
 
なお、鐵道省から海岸電気軌道鰍ヨ宛てた昭和4年6月25日付監鐵第898號1通牒で以下の通り通知されておりました。
「鶴見臨港鐵道株式會社ニ対シ旅客運輸営業ヲ許可相成候處右許可ニハ左記条件ヲ附シ有之條了知相成度
一、旅客運輸営業開始前ニ於テ海岸電気軌道潟リ所属軌道並其ノ附属物件ノ買収又ハ會社ノ合併ヲ求メタルトキハ之ヲ拒ムコトヲ得ズ
前項ノ場合ニ於テ買収価額又ハ合併條件ハ両會社ノ協定ニ依ル協議調ハサルトキハ申請ニ因リ政府之ヲ裁定ス但シ海岸電気軌道株式會社ニ於テ政府ノ裁定ニ依ル買収価額又ハ合併條件ニ應セサルトキハ會社ハ買収又ハ合併ノ責ナキモノトス」

 3月中旬の平日水曜日という繁忙な時期にもかかわらず、招待者は20社に及び、弊社も含めまして総人数28名、ご案内したほとんどの企業から御出席を頂き、晩餐招待會が催されたようです。どのような宴となったか想像もできませんが、下のような御献立でのおもてなしとなったようです。